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2011/10/14 (Fri)

第27期 竜王戦 第1局 第27期 竜王戦 第1局 - shanghai将棋日記(仮) を含むブックマーク はてなブックマーク - 第27期 竜王戦 第1局 - shanghai将棋日記(仮)

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渡辺竜王に丸山九段が挑戦する第1局。以下、引用は全て中継棋譜コメントより。

将棋そのものは結果的に71手の短手数で、異例の早い時間帯(記録によると14時14分投了)に終局しましたが、別の意味で見どころの多い対局でした。

まず正立会人が加藤一二三九段。これだけで中継観戦する楽しみは倍増と言っていいくらい(笑。

序盤、戦型が角換わりから先手渡辺竜王の棒銀模様になると、もちろん棒銀といえばこの人、黙ってはいられません。

「棒銀なんですね。うん、棒銀なんだな」(加藤一二三九段)

期待通りのリアクションです。

羽生二冠はタイトル戦では立会人の得意戦法を意識して戦型を選ぶという説がありますが、渡辺竜王がそのお株を奪う遊び心を見せたのでしょうか。それはないと思いますが(笑。

続いて封じ手。

いつだったか、やはり加藤九段が立会人を務めた際に封じ手を開封し、作法通り読み上げる前に対局者(封じたのではない側)へ示して見せ、後で「あれは私の新手です」とコメントしていたことがありました。今回は一体何が起こるのか?

立会人の加藤九段が封じ手を開封。1通目を開いて中身を確認し、訝しげな表情。指し手を示す前に、首をかしげながら2通目も開封した。

やはり合点のいかない様子で、封じ手をした渡辺に「すみません、どう指すんですか?封じ手はどこに?」。渡辺が口頭で伝え、「あ、あ、はい。こうね、歩で取る。はい、封じ手は▲8五歩です」と加藤九段。

控え室に戻ってきた加藤九段は、「指し手を示す矢印が駒と重なっていて、見えにくかったです。符号は書かないものなんですね。ちなみに封じ手を書かなかったら反則ですか?ひゃー、驚愕。しかしこれはこれで問題なしなんですね」。

解読できなかった(笑。

これには、封じた当人の渡辺竜王も慌てたのではないでしょうか。厳密に判定すれば、封じ手の記入が不正なら反則手で負けにもなりかねないところです。

私の知る限り、封じ手用紙は、その時点での局面図に、着手する駒を丸で囲んで、行き先を矢印で示す、という風に記入されるはず。

推測するに、この時の封じ手は直前の△8五歩に対して▲8五同歩ですから、歩がすぐ一つ前へ移動、しかも相手の歩がいるマスなので、矢印が非常に見えにくかったということでしょうか。でも赤で書くのではなかったかな。

「符号は書かないものなんですね。」と言ってるので、加藤九段自身がタイトル戦を戦っていた頃の昔は、符号つまり「▲8五歩」のように記述していたということでしょうか。ちょっと興味があります。

ちなみに封じ手は定刻(この場合は18時)をすぎてから最初の着手を封じるので、その時点の局面を、記録係が封じ手用紙に作図します。たまに、定刻前に手番を持っている側の対局者が記録係に声をかけて早めに用紙を準備させたりすることもあるようです。これは事実上「もう定刻まで指さない」という意思表示なのでちょっと不思議な感じもします。閑話休題。

続いて二日目の様子。

控え室の加藤九段が「そこで▲7四銀がいい手になりそうなんだな、うん。うん?はひい、はひふへほ。▲4六角に△7五歩ではなく△8五金があるのか。そうか、これはえらく悩ましい。一分将棋だったら△8五金に対応できない。おでこにペッタンコしてもわからないぞ」。

「そうかそうか、難しい手だな。私がこうやると?こうこう、かっこかっこ、かきくけこ。なんとかどうにか、いや桂打ちが良い手でね、次の手が思い浮かびません。まいったぴですね」(加藤一二三九段)

「はっはっは。そうですね、まいったぴでしょうか」(屋敷伸之九段)

「はひい、はひふへほ」とか「こうこう、かっこかっこ、かきくけこ」とか、観戦記者が作ってるんじゃないか? と疑いたくなりますが(笑)、いくら加藤九段とはいえ本当にこんなことを言ってるんでしょうか。屋敷九段もいい味出してる。隣で適当に応じる姿が目に浮かぶようです(笑。

しかも、その直後に、

ふとモニターに目をやると、丸山が盤面を指差して何か話している。どうやらここで投了したようだ。突然のことで控え室もびっくり。私服で検討していた加藤九段は、和服に着替えるため大急ぎで部屋を出て行った。

突然の投了!!

局面そのものは投了もやむなしの形勢とはいえ、まだこの後の時間帯にテレビ中継や大盤解説会などのイベントが企画されており、タイトル戦のクライマックスは二日目の夕刻以降という暗黙の期待もあり、心理的にも投了はしづらいところ。普通は控室は「終局近し」という雰囲気を読み、報道陣も対局室に突入する準備を整えて待機してたりするものですが、現場も完全に虚を突かれた様子がコメントから伝わってきます。立会人って途中で着替えたりしてるものなんですね。初めて知った。

しかし、丸山九段といえば、以前にもA級順位戦で対局が深夜に及んだ際、おもむろに用意のカロリーメイトを取り出して食べ始め、相手が投了した時にまだ咀嚼していたという、いわゆる「モグモグ投了」、また同じく順位戦の長丁場で、頭部に冷却シートを貼ってクールダウンを試みた「冷えピタ新手」など、数々の事件で知られる、よくいえばマイペース、ある意味で将棋以外のことには頓着しないタイプの棋士です。

この誰もが予想だにしないタイミングでの投了劇は、ある意味この対局を通じて最も丸山らしさが発揮された瞬間だったのではないか。最後に見せ場が用意(?)されているところはさすがトップ棋士、と妙なところで感心してしまいました。

追記

渡辺竜王のブログで封じ手の件に言及が。

http://blog.goo.ne.jp/kishi-akira/e/bf955382220e0378895bf74dfda07d18

見かねた解説の森下九段がフォローに入ってるのがいいですね(笑。

羽生とひふみんは仲がいいですが、渡辺竜王とひふみんのやりとりはレアなのではないでしょうか。

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