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2011/04/18 (Mon)

最近の将棋マンガ 最近の将棋マンガ - shanghai将棋日記(仮) を含むブックマーク はてなブックマーク - 最近の将棋マンガ - shanghai将棋日記(仮)

嬉しいことにまた将棋マンガが多くなってきたので、まとめて紹介してみます。

柴田ヨクサル『ハチワンダイバー』(週刊ヤングジャンプ)

将棋監修:鈴木大介八段。

TVドラマ化もされて、現在の将棋マンガブーム(?)の呼び水になったのかもしれない作品。

奨励会上がりの真剣師が主人公だが、ヒロインが「アキバの受け師」と呼ばれるメイドで、後半は文字通り命を賭けて将棋を指す秘密組織「鬼将会」との戦いになるなど、物語は荒唐無稽。盤上に没入した状態を「ダイブ」という必殺技として描いたり、負けた対局者が本当に死んだりと、将棋というゲームの凄さ、恐ろしさをマンガ的に表現するのが主題になっている。

一方で、作中の対局は逆転再逆転などストーリー展開に合わせて監修の鈴木八段がオリジナルの棋譜を作成しているという本格派。また、作者自身が少年時代に奨励会入会の寸前まで行った棋力の持ち主で、この連載が始まってからも席上対局で渡辺竜王に飛車落ちで勝利、藤田綾女流初段にも勝つなどアマチュア強豪と言ってよい実績を残しており、将棋マンガの作者の中では間違いなく最強だろう。作中では雁木ベースで相手に合わせて変化するオリジナルの戦型「ハチワンシステム」も描いていて、説得力は抜群だと思われるのだがすでに書いた通り演出の力点が将棋の内容に置かれていないのが勿体なくもある。

監修の鈴木大介八段をモデルにした主人公の師匠のプロ棋士「鈴木八段」も登場するが、滅法格好良い(笑。

羽海野チカ『3月のライオン』(ヤングアニマル)

監修は先崎学八段。

大ヒット作品『ハチミツとクローバー』の次回作ということで当初から将棋業界(?)以外からも注目されていましたが、期待通りの名作です。

家族を事故で亡くして、養父の内弟子から史上五人目の中学生棋士になった少年が主人公。養家に馴染まず、自活の手段として将棋を指していた主人公が、次第に周囲に対しても将棋に対しても前向きになっていくという話。

登場するプロは全員、架空の棋士ですが、実在のモデルがハッキリわかるキャラも多いのでそれも面白い。将棋というゲームそのものよりは、引退を目前にした老棋士や心身ギリギリに追い詰められながら戦うトップ棋士など、様々な棋士の姿を通じて「プロの世界」を描いている。その意味ではプロの将棋界を一番それらしく描いているマンガと言ってよいと思う。

今のところ主人公は五段に留まっているが、最終目標となるであろう羽生モデルの天才棋士も登場しているので、相当長く楽しめる作品になりそう。

作中の棋譜は過去のプロの名局譜から監修の先崎八段の紹介でセレクト、ときどき創作しているものもあるようです。

青木幸子『王狩』(イブニング)

棋譜指導:飯島栄治七段。

直観像記憶(作中では「完全記憶」)を持つ小学生の女の子が主人公。他にも数人の女子を含む同年代のライバル達を中心に奨励会での戦いを描く。まだ始まったばかりだが、将棋連盟会長や「双天」と呼ばれる突出した二人のトップ棋士の存在など将棋界の構図はある程度見せつつ、奨励会を高校野球のようなアマチュアスポーツとして興行化しようと構想する人物も登場しており、「初の女性棋士誕生なるか」というキャッチーな話をどう展開するのか気になるところ。

将棋の描き方はよくも悪くも普通で、対局を「出口の見えない迷路」「お互い武器を手にしての戦い」として象徴的に描くその絵面がちょっと浮いていることもある。主人公の能力「完全記憶」とそれに基づく「超直感」も今のところうまく伝わるように描かれていないように感じる。これは出たばかりだし、全体的にこれからに期待というところか。

南Q太『ひらけ駒!』(モーニング)

将棋に夢中な小学生の息子を、母親の視点から描いた日常系(?)マンガ。

実際に作者の息子が将棋にハマったのを契機にして描かれ、大部分はほぼ実話に近いようだ。

イベントなどのシーンに登場する棋士、女流棋士はそのまま実名で、これまで田丸昇、深浦康市、羽生善治、高橋和、上田初美らが登場。一方、将棋教室講師の奨励会員は明らかに架空の人物になっているのは配慮なのか、不明。

一年近く原稿を描きためてから連載開始したのだそうで、今のところは主人公の宝少年が道場に通ったり大会に出たりして、母親は息子の影響でプロ棋士のミーハーなファンになったり、自分も将棋を指すことに興味を持ち始めたりしているところ。宝くんは小学四年で二段となかなかの上達速度のようなので、今後の展開は彼次第といった感じでしょうか。

私は道場通いや大会出場の経験はないのでその様子も興味深いし、今まで全く将棋に興味がなかった母親の視点もよくわかるので面白い。

それから小学生男子と母親のやり取りもリアルでいい。息子視点の描写と、彼が家に帰ってから母親に報告する内容の落差や、むしろ母親のほうが息子の将棋の勝敗に熱くなったり親なりに気を遣ったのに本人は無頓着だったり、いかにも小学生男子らしい大らかさと母親の思惑のズレが実によく描けている。息子と母親ってこんな感じだよなーと。

今のところ将棋の内容はほとんど見せていないけれども、マンガとしては文句なしに面白い。

にしても語り手のママが美人すぎるだろうと言いたいところだが、南Q太は本当にこんな感じのスラッとした美人だから困る。

   

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